ビカクシダの誘引テクニック その2|ヘアピンワイヤーで胞子葉の向きを揃える
この記事は、私の特定の環境(室内栽培)での経験をもとに書いています。すべての環境に当てはまるわけではありませんので、ご了承ください。
この記事でわかること
この記事では、ワイヤーをヘアピン状(U字型)に折り曲げて、成熟した胞子葉と若い胞子葉を一緒に挟み込むことで、若い胞子葉を好ましい方向に誘引するテクニックについて書きます。ヘアピンワイヤーの作り方、先端の加工のポイント、実際の装着手順、そしてどんなビカクシダで有効かを、写真付きで紹介します。
ヘアピンワイヤー誘引とは
ヘアピンワイヤー誘引は、好ましい方向に広がっている成熟した胞子葉をガイド(型)にして、若い胞子葉を同じ角度に誘引する方法です。
やり方はシンプルで、ワイヤーをヘアピン状に折り曲げ、成熟した胞子葉と若い胞子葉の両方を一緒に挟むだけです。成熟した胞子葉は既に硬化しているので動きません。一方、若い胞子葉はまだ柔軟なので、挟まれた状態で成長するうちに、私の経験では成熟した胞子葉と同じ角度に定着していきました。
どんな時に使う方法か
この方法は、以下のような状況で使います。
- 若い胞子葉(まだ白く、成長中のもの)が、成長点から垂直に「前習え」のような状態で伸びている
- 近くに、よく育った成熟した胞子葉があり、その方向・角度が好ましい
- その好ましい胞子葉と同じ角度に揃えたい
成熟した胞子葉がきれいに横向きに展開していて、若い胞子葉もそれと同じ角度にしたい、という場面で使います。「お手本になる胞子葉」が近くにあることが条件です。
「前習え」の状態とは?
成長点から出た胞子葉が板に対して垂直方向に成長している状態のことです。通常、ウィリンキーの胞子葉は左右に広がるように展開しますが、光が強かったり、正面からしか光が当たらない環境では、胞子葉が光を求めて正面に向かって伸びるため、結果的に板から垂直に立ち上がるような状態になります。このまま成長すると、個人的にはですが、左右に胞子葉が広がらず不格好な形になってしまいます。
どのビカクシダで使えるか
このテクニックは、主にウィリンキー系の品種で使っています。
ウィリンキーの胞子葉は、成長点からまず垂直に伸びて、そこからねじれながら、最終的に地面と平行方向(面として平行)に広がって成長していきます。この「まず垂直に出る」段階で、まだ柔軟なうちにヘアピンワイヤーで向きを固定すると、好ましい角度に誘引しやすいと感じています。
今回の写真では、P.willinckii ‘Blue Queen’(ブルークイーン)で実演しています。
ヘアピンワイヤーの作り方
使うワイヤーは、誘引テクニック その1で紹介したアルミワイヤーと同じものです。太さは基本的に3mmを使います。3mmの方が硬さがあるため、胞子葉をしっかり挟み込めます。ただし、胞子葉がまだ弱々しく細い場合は、3mmだと重すぎることがあるので、その時は2mmを使います。
ステップ1: ワイヤーをカットする
必要な長さにワイヤーをカットします。
ステップ2: ペンチで二つ折りにする
ワイヤーをペンチで二つ折りにして、ヘアピン状(U字型)にします。
ステップ3: 先端をペンチで潰す
ここが重要なポイントです。折り曲げた先端(ループ側)をペンチでしっかり潰して、鋭く薄い形状にします。
先端を潰す理由は2つあります。
1つ目は、隙間を極力少なくできること。先端が丸まっていると胞子葉との間に隙間ができてしまい、微細な角度調整が難しくなります。潰して鋭くすることで、胞子葉にフィットしやすくなります。
2つ目は、グリップ力が上がること。ワイヤーの間がタイトになるため、挟み込んだ胞子葉をしっかりホールドできます。
横から見ると、薄くタイトになっている様子がわかります。
実際の誘引手順
ここからは、実際にブルークイーンで誘引する手順を紹介します。
誘引前の状態
まず、誘引前の株の状態です。
若い胞子葉が成長点から伸びているのが見えます。
この若い胞子葉は、まだ垂直に近い角度で伸びています。近くには、好ましい角度で展開している成熟した胞子葉があります。この成熟した胞子葉をガイドにして、若い胞子葉を同じ角度に誘引します。
ヘアピンワイヤーを装着する
成熟した胞子葉と若い胞子葉の両方を、ヘアピンワイヤーで挟み込みます。ワイヤーの位置や角度を微調整して、若い胞子葉が成熟した胞子葉と同じ方向を向くようにします。
装着後の様子です。成熟した胞子葉の角度に沿って、若い胞子葉が固定されています。
根元付近を寄りで見た様子です。ヘアピンワイヤーが胞子葉の間に差し込まれています。
別の角度からの様子です。ワイヤーの2本の足が胞子葉を挟んでいるのが見えます。
少し引いた角度からの様子です。
成熟した胞子葉が「型」として機能しています。若い胞子葉はこの状態で成長を続け、私の経験ではやがてこの角度で硬化していきました。
装着後の管理
ヘアピンワイヤーは、若い胞子葉がその角度で硬化するまでつけたままにします。
装着後は毎日観察して、ワイヤーがずれていないか確認します。成長に伴って胞子葉の太さや角度が変わるため、ずれていたらその都度直します。
外すタイミングは、胞子葉が成長して硬くなってきたと感じた時に、一度ワイヤーを外してみます。外した時に胞子葉が元の角度に戻ってしまうようであれば、まだ硬化が不十分なので、もう一度つけ直します。戻らなければ、そのまま外して完了です。
まとめ
ヘアピンワイヤー誘引のポイント
この方法は誰でもできますし、失敗も少なく、手軽に試せます。観察していて「この胞子葉の出方、ちょっと気に食わないな」と思った時に、ぜひ試してみてください。
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JISAKUBO
管理人2020年からビカクシダを育てています。気づいたら5年で100種類以上。たくさん枯らして、たくさん学びました。自分の備忘録ですが、何かひとつでも参考になれば嬉しいです。
@j39bo