ビカクウォール照明設計|スマホで光環境をシミュレーション
このシミュレーターのデータは、各メーカーの公式スペック(Amazon商品ページ・公式計測データ)を起点にしています。壁の反射や経年劣化は考慮していないため、実環境では±10〜20%程度の誤差があります。あくまで「目安」として使ってください。
この記事でわかること
ビカクウォールの照明を設計するとき、こんな悩みはありませんか。
- ライトは何灯必要なのかわからない
- 壁のどこが暗くなるのか、買う前に確認したい
- 自分の品種に必要な光量が足りているか不安
- 電気代がどのくらいかかるか知りたい
この記事では、これらの悩みをスマホでシミュレーションして解決できるツール「JISAKUBO Light Planner」の使い方を紹介します。品種ごとのルクス目安、設計の手順、ヒートマップの見方、よくある失敗まで、具体例付きで書いています。
目次
まずはこれだけ覚えてください
シミュレーションする前に、品種ごとにどのくらいの光量が必要かを知っておく必要があります。以下の表は、私が5年間の室内栽培で感じた経験則に基づく目安です。公式なデータがあるわけではありません。ただ、私はこの数値を基準にビカクウォールの照明を設計しています。
上段にライトを近づけて高光量が必要な品種を、下段に低光量でも大丈夫な品種を配置するのが基本的な考え方です。ヒートマップが上段・中段・下段で帯状に分かれて、育てたい品種に応じたルクスの幅ができている状態が目指すゴールです。
この数値を頭に入れた上で、シミュレーターを使います。なお、シミュレーター内にもルクスガイドが搭載されています。
実際にやってみる
ここからは、横430cm×縦130cmの壁にBRIM PANEL A 65Wで設計する例で進めます。
設計の考え方は、変えられない条件から先に入力して、最後に灯数で調整するです。壁のサイズや天井の高さは物理的に決まっているので、まずそこから設定します。
1. 壁のサイズを設定する
アプリを開いたら、画面右上の⚙️(設定)をタップします。「ウォール横幅」「ウォール高さ」のスライダーで、自分のビカクウォールのサイズを入力します。
2. ライトを選んでレールを追加する
画面右上の「レール追加」をタップすると、ライトの一覧が表示されます。自分が使いたい(または買おうとしている)ライトを選びます。
どのライトを選べばいいかわからない場合は、スポットライトvsパネルライトの記事や私が実際に使っているライトの記事を参考にしてください。なお、リストにないライトのルクス値やビーム角を手動入力できる「カスタム」機能は、今後追加予定です。
3. 壁からの距離と高さを設定する
次に、レールの壁からの距離と高さを設定します。
画面上に表示されている横線が「レール」です。ライトが横一列に並ぶラインのことで、この線の上にライトが配置されます。
レール(横線)の部分をタップすると設定画面が開きます。
設定画面の「壁からの距離」と「高さ」を、自分の環境に合わせて入力します。この2つは天井の高さやレールの取り付け位置で決まる条件なので、変えられない部分です。 先に実際の数値を入力します。
「高さ」はビカクウォールの上端を基準にした距離です。 ウォールの上端よりも上にレールがある場合は+(プラス)、ウォールよりも下にレールを配置する場合は−(マイナス)で表示されます。
なお、壁からの距離と高さは設定画面のスライダーでも調整できますが、「側面図」タブでライトを直接ドラッグして動かすこともできます。数値で入力するよりも直感的に調整したい場合はステップ8の側面図を活用してください。
レールが複数ある場合は、設定画面上部の◀▶ボタンでレール間を切り替えられます。
4. 照射角度を決める
距離と高さが決まったら、次にライトの照射角度を設定します。角度によって光の当たり方が大きく変わるため、灯数を増やす前に角度を先に決めておきます。
設定画面のスライダーか、側面図でライトをドラッグして調整できます。
照射角度は好みが分かれるところです。私は胞子葉に対して前方45°程度から照射するのが好みです。こうすると胞子葉が枝垂れる角度がきれいに出るように感じます。 ベイチー系のように胞子葉を上に垂直に立たせたい場合は、真上から光を当てます。照射角度によって胞子葉の展開が変わるので、自分の好きな角度をぜひ研究してみてください。
5. 灯数を増やして配置する
壁のサイズ・ライトの種類・距離と高さ・角度を設定したら、あとは灯数を調整するだけです。ここが自由に変えられる部分です。
四角い形はパネルライト、黄色い丸はスポットライトです。ライトとライトの間に表示されている数字(◀ 7cm ▶ など)は、隣り合うライトの端と端の距離です。パネルライトの幅はメーカーの実測値を使っていますが、スポットライトについては灯体の直径を一律10cmとして計算しています。
灯数の調整
灯数を増やすとヒートマップの色が変わります。壁全体に色が広がるまで灯数を増やしていくのが基本です。
1つのレールには1種類のライトしか設定できません。 同じレール上は同じライト、できれば同じ時期に購入したもので揃えるのがおすすめです。
1つの位置でスポットライトとパネルライトを組み合わせたい場合は、同じ高さに2本のレールを重ねて配置することで再現できます。
6. ヒートマップで確認する
「正面+側面」タブ(メインの作業画面)では、左半分にヒートマップ、右半分に側面図が表示されます。
ヒートマップの色と品種の対応は以下の通りです。
ヒートマップの色が上段・中段・下段で帯状に分かれていれば、品種に応じた光環境ができています。 青い部分が壁の大部分を占めている場合はライトの灯数が足りていない可能性があります。
7. 正面図でヒートマップを確認する
「正面図」タブに切り替えると、「正面+側面」タブのヒートマップ部分を縦画面で拡大して確認できます。
ヒートマップの色が横帯状に水平に広がっていることがポイントです。 こうなっていれば、壁の上段・中段・下段で光量の帯ができるので、それぞれの帯に合った品種を配置できます。
レールが1段だと上から下に向かって光量が徐々に弱くなりますが、例えば中段にも高光量の品種を置きたい場合は、中段の位置にレールを追加することで高いルクスの帯を作ることもできます。自分がどの品種をどこに配置したいかに基づいて、ヒートマップをデザインしていきます。
注意したいのは、ヒートマップが縦方向に分断されていないことです。 ビカクシダの胞子葉は強い光の方向に向かって伸びるため、光が左右非対称だと形がいびつになる恐れがあります。できる限り横帯状に均一に広がるようにするのがよいです。
ただし、これはあくまでシミュレーションです。実際にビカクウォールにビカクシダを掛けていくと、上段のビカクシダの胞子葉が影を作り、下段のビカクシダには光が届きにくくなります。また、壁からの光の反射もこのシミュレーターでは考慮されていません。実環境では多少の誤差があることを踏まえた上で、目安として活用してください。
気になる場所をタップすると、その地点のルクス値を確認できます。タップしたままドラッグすると、リアルタイムでその場所のルクスを計測できるので、ぜひ活用してみてください。
8. 側面図で微調整する
「側面図」タブでは、「正面+側面」タブの側面図部分を縦画面で拡大して表示します。ライトの角度・距離を細かく調整でき、ライトや各ハンドルをドラッグで直接操作できます。
9. 繰り返して仕上げる
「正面+側面」→「正面図」→「側面図」のタブを行き来しながら、灯数・角度・位置を調整していきます。
完成の目安
・ヒートマップが上段・中段・下段で帯状に分かれている
・育てたい品種に必要な光量が、その品種を掛ける位置で確保できている
・青い部分(3,000 lux以下)が少ない
ここまでが基本的な操作の流れです。まずはこの手順で一通り設計してみてください。
ただし、ここまでの操作でわかるのは壁面に当たるルクスです。実際に重要なのは、壁から前にせり出しているビカクシダの胞子葉に当たるルクスをどのくらいにしたいかということです。設計の精度を上げるにはここからが大事です。
胞子葉に当たるルクスをシミュレーションする
株シルエットを配置する
ヒートマップだけだと、壁のどの位置にどのサイズのビカクシダが来るのかイメージしにくいです。シルエットを配置することで、実際に掛けたい位置にどのくらいの光が当たるか、当たりをつけることができます。
設定画面の「+ 株を追加」から追加します。
シルエットを実際に掛けたい位置にドラッグで移動すると、その場所にどのくらいの光が当たるかが視覚的にわかります。長押しでサイズ変更・複製・削除のメニューが開きます。
株の張り出し
ビカクシダを板付けすると、株が壁から前にせり出します。株が前に出るほどライトとの距離が近くなるため、壁面で計算したルクスよりも実際に胞子葉に当たるルクスは高くなります。 株の張り出し機能は、ルクスの計算基準を壁面から株の前面に移動させる機能です。これにより、実際に胞子葉が受ける光の量に近いシミュレーションができます。
側面図の緑のラインをドラッグして、実際の張り出し距離を設定します。
葉角度補正
胞子葉は品種によって向きが異なります。光が胞子葉に対して正面から当たるのと、斜めから当たるのとでは、葉が実際に受ける光の量が変わります。 葉角度補正は、胞子葉の向きを考慮してルクスを計算し直す機能です。これにより、ルクスメーターを葉の面に向けて測ったときに近い値をシミュレーションできます。
側面図の葉のハンドルをドラッグして、胞子葉の向きを設定します。
葉の向きと照射角度の関係は重要です。 例えば、胞子葉が前方に垂れ下がっている品種に対して真上から光を当てると、光は葉に対して斜めに当たるためルクスは低くなります。逆に、葉の正面から光が当たるように照射角度を合わせれば、同じライトでもより多くの光を受けることができます。照射角度(ステップ4)と葉角度補正はセットで考えるとよいです。
LUX / PPFD 切替
画面右側のボタンで、表示をLUXとPPFDに切り替えることができます。LUXは明るさの単位、PPFDは植物の光合成に直結する光量子束密度の単位です。
よくある失敗
Instagramで初心者の方のビカクウォールを見ていると、ライトの数が足りていないケースがかなり多いです。
例えば、横幅120cmのビカクウォールにスポットライト1〜2灯だけ、というパターン。光が中心にしか届かず、端のビカクシダが明らかに徒長しています。
シミュレーターでヒートマップを見ると、1〜2灯では壁の端が真っ青(3,000 lux以下)になることがわかります。「思ったより多い」と感じるくらいの灯数が実際には必要です。
もう一つ多いのは、ライトと壁の距離を考慮していないケースです。ライトは壁から離れるほど広い範囲を照らせますが、その分ルクスは下がります。距離30cmと100cmではルクス値が数倍違います。側面図で距離を調整しながら確認してみてください。
電気代
ビカクウォールの照明は基本的に毎日12時間以上つけっぱなしになるので、電気代は無視できません。設定画面で現在の設計に基づいた消費電力と月額電気代を確認できます。
点灯時間(デフォルト12時間/日)と電気単価(デフォルト27円/kWh)は変更可能です。例えば、BRIM PANEL A 65Wを10灯使うと消費電力は650W、月額電気代は約6,300円程度になります。
灯数を増やすとルクスは改善しますが、電気代も上がります。必要な光量と電気代のバランスを見ながら灯数を決めるのが現実的です。
まとめ
照明シミュレーター「JISAKUBO Light Planner」がスマホに対応しました。
ライトを購入する前に、自分の壁のサイズとライトの種類・数でシミュレーションしてみてください。ヒートマップが上段・中段・下段で帯状に分かれ、育てたい品種に応じたルクスの幅ができる灯数が、私の経験ではだいたいの目安です。
対応ライトの詳細やデータの出どころは前回の記事にまとめています。
最終的には、ルクスメーターで自分の環境を計測して微調整するのがベストです。シミュレーションの数値と実測値を比較することで、自分の環境に合った照明設計ができます。
この記事についてのご質問やコメントがありましたら、Instagram(@j39bo)にDMください。
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JISAKUBO
管理人2020年からビカクシダを育てています。気づいたら5年で100種類以上。たくさん枯らして、たくさん学びました。自分の備忘録ですが、何かひとつでも参考になれば嬉しいです。
@j39bo