コロナリウムはいいぞ|ビカクシダの個体差を楽しむ、私の室内栽培
どうも、ジサクボです。
こんな人に読んでほしい
- コロナリウム(P.coronarium)を育てている人、これから育ててみたい人
- コロナリウムってどんな植物か知りたい人
- 私の育て方を参考にしたい人
【前提】
この記事は、私の特定の環境(完全室内栽培)での経験をもとに書いています。すべての環境に当てはまるわけではありませんので、ご了承ください。栽培方法は読者の環境に合わせて自己責任でアレンジしてもらえればと思います。
目次
なぜこの記事を書いたのか
ビカクシダの中でも、私が特に思い入れを持って育てているのが コロナリウム(Platycerium coronarium) です。
Instagram でも「コロナリウムってどうやって育ててるんですか?」と質問をいただくことが多くて、私なりの育て方を一度まとめておきたいな、と思ったのがこの記事を書くきっかけです。
それと、コロナリウムは 「個体差が大きい」「貯水葉が美しい」など 独特の魅力がある品種です。育てたことがない人にも、この植物の概要が伝わるように書きたいと思っています。
この記事では、まず コロナリウムがどんな植物か をひと通り紹介して、私が育てている3個体を見てもらい、最後に 私なりの育て方 をまとめます。
結論から言うと
コロナリウムは、個体差が大きく、貯水葉の末広がりが美しい、寛容な品種 です。
「寛容」と書いたのは、ウィリンキーほど光環境を厳密に整えなくても、それなりにきれいに育ってくれる、という意味です。室内栽培でも問題なく育ってくれる印象があるので、ビカクシダにある程度慣れた人なら十分育てられると感じています。
ただし、低温には注意が必要 です。『NHK趣味の園芸 ビカクシダ』(p.15)でも、コロナリウムの生育温度は 12〜35°C、冬の寒さと乾燥に弱い と書かれているので、寒さにはやや弱い品種、という認識でいるのが安全です。
私の環境では年間を通して 20度以上 を保つようにしていて、これまで調子を崩したコロナリウムはいません。一番長く育てている個体で3年半、新しい個体で1年半、合計3個体 がすべて元気に育ってくれています。爆発的な成長スピードではないものの、止まることなく等速で淡々と育っていくのが特徴です。
詳しくは記事の中で書きますが、「失敗しにくい美しさ」を持っているのがコロナリウムの魅力 だと感じています。
私のコロナリウム3個体
私の手元には、現在コロナリウムが3個体あります。
2026年4月撮影 / P.coronarium waiwai(ワイワイ)/ 細葉系の代表格。胞子葉が極細で、貯水葉の先端も尖っている。攻撃的でちょっと男性的な印象。私のお気に入り
2026年4月撮影 / P.coronarium(名前なしの個体)/ こちらも貯水葉の先端が尖って、胞子葉は細葉。ワイワイと同じく男性的な印象で、胞子葉が真下に垂れて多数分岐していく
2026年4月撮影 / P.coronarium(名前なしの個体)/ 一転して、貯水葉の先端は丸っこく、胞子葉はくるくるとカールする。女性的でやわらかい印象の個体
3個体を並べて見ると、同じ「コロナリウム」というくくりでも、こんなに姿に幅がある のがよく分かります。先端が尖って細葉の 男性的な個体 もいれば、貯水葉が丸くて胞子葉がカールする 女性的な個体 もいる ─ これがコロナリウムの 個体差の面白いところ だと感じています。
豆知識|胞子由来でも親株名のまま売られる業界通例
ビカクシダの世界では、親株から株分けされた個体だけが親と同じ名前を継ぎ、胞子から育てた株(スポアリング)は別株扱い にするのが基本ルールです。
ところが、コロナリウムとリドレイだけは例外 で、胞子から育った株でも親株名(「ワイワイ」「パカラン」など)で流通します。
該当する選抜株の例:
- コロナリウム:ワイワイ、フィリピネスドワーフ、コロナリウムホワイト など
- リドレイ:パカラン、サーマン、ナノ など
ただ、胞子から育った株は親と完全に同じ遺伝子を持つわけではないので、同じ「ワイワイ」でも個体ごとに姿が少し違います。コロナリウムを育てていて「同じ品種なのに姿に幅がある」と感じるのは、こういう背景もあります。
育てていて何が面白いか
コロナリウムを育てていて面白いポイントを、6つに分けて書きます。
① 個体差が大きい
ウィリンキーも個体差が大きい品種ですが、コロナリウムも負けないくらいバリエーションが豊かです。
サイズも大きいやつから小さいやつまで色々。貯水葉の形も実はいろいろあって、王冠状に大きく開くものもあれば、白菜のようにこんもりまとまるものもあります。胞子葉も 細葉だったり太葉だったり、先端がくるくるカールするもの もある。さらに、肌の色合いも、トリコームが乗って白く見える個体 もいれば、緑色でテッカテカに光る個体 もいる。
「コロナリウム」というくくりだけで、これだけのバリエーションが楽しめる ─ これが私の感じる一番の面白さです。
② 貯水葉が美しい
コロナリウムの学名 coronarium はラテン語で 「王冠」 という意味で、貯水葉が王冠のように見えるところから付いた名前です。
確かにこの貯水葉、逆八の字に大きく開いて ダイナミックに広がる 造形は、王冠そのもの。ピンと立った悠々とした広がりは、他のビカクシダにはない造形美です。
③ 胞子葉がひっくり返ってもまとまる
ここが個人的に大きいと感じているのですが、コロナリウムは「胞子葉がひっくり返っても結局きれいにまとまる」 んですよね。
ウィリンキーは 光に向かって胞子葉が伸びる性質が強い 品種です。スポットライトのように光が当たる範囲が狭いと、胞子葉がその範囲内に留まろうとして成長しながら身をよじります。その結果、胞子葉がねじれてひっくり返ってしまう ことがある。一旦そうなるとリカバリーが効きにくく、左右非対称な姿になってしまう ─ ベストな姿に仕上げるには、ワイヤー誘引や光環境の細かな調整が必要な品種、という体感です。
コロナリウムでも、同じようにひっくり返りは起こります。ただ、コロナリウムは 胞子葉がたくさん分岐しながら成長していく 品種なので、後から後から分岐が出てきて、成長しながら軌道修正していく んですよね。一旦ひっくり返っても、次に出てくる分岐がいい感じに方向を変えて、結果として全体がまとまる。
それに加えて、コロナリウムの胞子葉は 真下に垂れ下がる 形態。最終的には重力に従って下向きに揃います。「多分岐で軌道修正できる」×「下垂で重力に従う」 ─ この組み合わせのおかげで、ワイヤー誘引などをしなくても美しい姿に育ってくれる のが、コロナリウムのいいところです。
④ 分岐の仕方が面白い
コロナリウムの分岐は ウィリンキーとは違う独特の面白さ があります。
特徴的なのは、真下に垂れ下がった胞子葉の先端から、後から後から細い枝がどんどん増えていく ところ。「もう分岐は止まったかな」と思っていても、また新しい枝が出てきて、最初に予想していたよりも分岐数が多くなることがしょっちゅうあります。
「あ、ここからまた分岐したな」「いつの間にこんなに枝分かれしてた」という発見が、育てていてとても楽しいです。分岐の読みづらさ・予測しづらさ があるからこそ、毎日の観察が飽きません。
特に ワイワイのような細葉系の選抜株 では、分岐数が多すぎて何本に枝分かれしているか数えられないほどになります。コロナリウムの中でも個体ごとに分岐の出方が違うので、ここでも個体差が楽しめる ─ ①で書いた「個体差の大きさ」とつながる面白さです。
⑤ 自分だけの株を育てているという感覚
豆知識セクションで書いたとおり、コロナリウムは 胞子培養(スポアリング)で増やされた株 が多く流通します。胞子から育った株は親と完全に同じ遺伝子を持つわけではないので、私が育てている「ワイワイ」と、別の人が育てている「ワイワイ」は、姿が微妙に違う。
「同じ品種でも姿が違う」とは、つまり 自分の家のコロナリウムは世界に一つしかない個体 だということ。株分け(オリジナルクローン)と違って、胞子培養から育った株ならではのロマン がここにあります。
「自分だけしか持っていない株」を育てている感覚 ─ これが、コロナリウムを育てている人だけが味わえる、ちょっと特別な楽しみだと感じています。
⑥ インテリアとしての価値が高い
最後にもう一つ。コロナリウムは インテリア映えがすごい 品種です。
葉の色が派手な白系ではなく 落ち着いた緑 なので、インテリアグリーンとして優秀。何もない壁にコロナリウムを一株つけるだけで、部屋全体がぐっと華やかになります。
しかも、王冠状の貯水葉と多分岐の胞子葉という 複雑で立体的な造形 が、部屋にちょっとした 異国情緒・オリエンタルな雰囲気 を運んでくれる。北欧家具との相性も抜群 で、木材や白壁のシンプルな空間に大きな緑の造形が加わると、部屋が一気に物語を持ち始めます。
一株あるだけでこれだけのインパクトを出せる植物は、なかなかないと思います。
個体差を楽しめて、貯水葉の造形が美しくて、ワイヤー誘引なしで自然にまとまって、分岐の出方も予測不能、世界に一つの自分だけの株、しかもインテリア映えまでする ─ こうやって書き出してみると、コロナリウムは ゲームで言うところの「種族値が高い」品種 だな、と改めて思います。どの株を選んでも、ベース性能が高いので ハズレがない。
失敗しにくくて、美しくて、自分だけの株、しかも飾れる。これがコロナリウムにのめり込んでいる理由です。
私の育て方
ここからは、私が実際にどう育てているかをまとめます。
私は 室内栽培(日中の窓越し日光とLEDを組み合わせ)・加湿器なし・エアコン管理 という環境で育てています。屋外栽培は一切しません。光・水・風・温度・湿度・板付け・害虫対策の順に、私のやり方を書きます。
光|下段(5,000〜8,000 lx)に配置
私のビカクウォール(壁掛け栽培)は、上段から下段まで光量に幅があって、品種ごとに位置を分けています。
| 段 | ルクス値 | 主な配置品種 |
|---|---|---|
| 上段(光源から約60cm) | 20,000〜25,000 lx | 立葉系ウィリンキー、白系FSQ、ベイチー、リドレイ |
| 中段(約120cm) | 10,000〜15,000 lx | 中株のウィリンキー、F シリーズ |
| 下段(約170cm) | 5,000〜8,000 lx | コロナリウム、大型ウィリンキー、ワリチー |
コロナリウムは一番下の段、5,000〜8,000 lx の場所 に置いています。私の環境では、強い光を当てなくても、下段の弱めの光で十分美しく育ってくれています。上段に置く必要を感じませんでした(あくまで私の環境の話)。
スポットライトの距離とルクス値で品種配置を最適化する方法
スポットライトは距離で光量が変わる。品種特性に応じた最適な光環境の設計方法を解説。
コロナリウムを置く場所を決める時は、ルクスメーターを使って、実際に5,000 lx 以上あるかどうか確認してから配置する ことをおすすめします。(ちなみに、私が育てている環境は5,000~8,000 lx ですが、これはあくまで私の栽培環境での値です。5,000 lx以上あれば、まあ大丈夫という感じだと思ってもらえれば。)測定して光量が確保されていることが確認できたら、その後は 実際に置いて様子を見る のが大事。光量が不足していると、成長が遅くなったり、光合成がうまくできずに成長が止まったり、貯水葉が貧弱になったりすることがあります。
その先の判断は、私は「水が乾く速度」で見ています。光合成がうまくいっていれば株は活発に水を吸い上げますし、逆に光合成が不足すると水の吸い上げが鈍くなって、水苔がいつまでも乾かなくなる ─ これが一番早く株の調子を測れるバロメーター だと個人的に思っています。
具体的には、自分が普段感じている水やりサイクルよりも、明らかに水苔の乾きが遅い と感じたら、光合成が足りていないサインかもしれません。もちろん、風の当たり方・気温・湿度といった要素でも乾きの速さは変わるので、あくまで感覚的な話ではありますが、私はそういう「いつもとの違い」を一つの目安にしています。
詳しい機材構成は、LED選びの過去記事群を参考にしてもらえればと思います。私が実際に使っていて、どちらもおすすめできるライト を2つ紹介しておきます。パネルライトの BRIM PANEL A と、スポットライトの BRIM COSMO 22W です。
水|水苔の下側が乾いたらすぐに水やり
水やりの基本は 「水苔の下側を触って表面が乾いていたらすぐに与える」。多少水気が残っていてもOK、というスタンスでやっています。ドライアウト(乾かしすぎ)は厳禁 ─ 一度経験して、貯水葉が成長不全になったので、それ以来避けるようにしています。
完全室内なので季節感はあまりなく、夏も冬も同じくらいの頻度で水やりしています。本に書かれた「週1」のような決まったサイクルはありません。「いつ水をあげるかは時計ではなく株で判断する」 という考え方です。
水やりの方法は、コロナリウムが大株ならシャワー、中株・小株ならバケツに新鮮な水を組んで浸水法。使い終わった水は再利用しません(過去に溜め水で小株を枯らした経験があるので、新鮮な水で管理するようにしています)。
「コロナリウムは蒸れやすい」は私の環境では起きていない
ビカクシダ界隈ではよく 「コロナリウムは蒸れやすい」 と言われます。ただ、室内で育ててきた私の環境では、蒸れたことは一度もありません。
これは私の推測ですが、一般に言われる「蒸れ」は、おそらく 屋外栽培で夏場に水やりをした際、貯水葉の内側や水苔に溜まった水が太陽光で熱せられて起こる 現象なんじゃないかと思っています。なので、通常の室温で管理している室内栽培なら、蒸れの問題は起きにくい のではないかな、というのが私の体感です。
ちなみに、コロナリウムは形がウィリンキーによく似ていますが、貯水葉がウィリンキーよりも水苔にピッタリとタイトに張り付く 形状をしています。その分、貯水葉と水苔の間に水を溜め込みやすい性質がある気がしていて、屋外で熱がこもるような環境ではこの構造が裏目に出て蒸れやすくなる ─ という可能性もあるのかな、と個人的には思っています。
補足|販売者の方に聞いた、貯水葉の蒸れ対策
これは余談ですが、コロナリウムで有名な販売者の方 に話を聞いた時に教えてもらった対策があって、「梱包用のラップシート(名前は失念してしまいました…)を貯水葉に巻いておくといい」 と言っていました。
おそらくですが、こうすることで 一番新しい貯水葉と古い貯水葉の間に物理的なバリアを作って、水苔からの蒸れを起こしにくくする という狙いなんじゃないかな、と思っています。
私自身は蒸れたことがないのでやっていませんが、もし蒸れに困っている人がいれば 「こういう手もあるよ」 というのを覚えておくといいかもしれません。
水やりの詳細・活力剤の使い方・失敗談などは、こちらの記事に詳しく書いています。
ビカクシダの水やり|頻度と方法・失敗しないコツ
水苔の下側が乾いたらすぐに与えることが大切。株サイズ別の水やり方法と失敗しないコツを紹介。
肥料|中株まではマグァンプK、大株はIB化成
コロナリウムは、実は 施肥がしやすい品種 です。
理由は2つあると感じています。
1つ目は、貯水葉が大きく展開して、水苔の表面を隙間なく覆ってくれる こと。貯水葉に覆われた状態で肥料を置くので、水やりの時に肥料が流れにくく、安定して株に効くんです。
2つ目は、コロナリウムは枯れた貯水葉が内側に巻き込む傾向がウィリンキーよりも強い こと。枯れた貯水葉が水苔の表面にがっちり蓋をしてくれる形になるので、上から肥料を置いてもポロポロと落ちることがなく、しっかり留まってくれます。この構造のおかげで、置き肥との相性がとても良い 品種だな、というのが私の体感です。
私の肥料の使い方は、株のフェーズで分けています:
中株まで(コケ増しのフェーズ):頻繁にコケ増しをするので、その都度 マグァンプK を水苔の中に仕込んでいます。元肥として安定して効くので、これだけで十分です。
ちなみに、最近、元肥としても置き肥としても使い始めた肥料 があります。蘭専用肥料のモルコート です。結構効果が持続しますし、匂いもない ので、いい感じに使えています。
大株(コケ増しフェーズが落ち着いた後):コケ増しの頻度が減るので、追肥として IB化成肥料 を使っています。IB化成を選んでいる理由は、粒が大きくて落ちにくい から。置き肥にちょうど向いているんです。気が向いたタイミングで、貯水葉の裏に6粒ぐらいパラパラと置く だけ。これだけで基本OKなのが楽でいいですね。
これはコロナリウムに限った話ではなくて、私が育てているビカクシダ全般に言える ことなのですが、化成肥料だけで全然問題なく育ってくれる 印象です。なので、コロナリウムも例外ではなく、肥料管理に神経質にならなくても育ってくれます。
肥料の詳しい話は、こちらの記事にまとめています。
ビカクシダに使っている肥料|マグァンプKの使い方
マグァンプKを水苔に仕込む元肥スタイル、IB化成の追肥スタイル、それぞれの使い分けを解説。
風|サーキュレーター常時稼働
風通しは重視しています。サーキュレーターで 常時穏やかな風が当たる ようにしていて、24時間稼働 です。直接ガンガン当てるのではなく、空気を循環させる程度の風量 で、葉と葉の間を空気が抜ける感じ を意識しています。若干、葉先が風で揺れてふわふわしている状態 が理想的な風の当たり方かな、と個人的には思っています。
サーキュレーターを回す 一番の理由はカイガラムシの予防 です。詳しい対策はこちらの記事にも書いています。
害虫対策|カイガラムシとワラジムシ
サーキュレーターによる予防と、発見した時の対処法。室内栽培で気をつけたい2大害虫の見極めと駆除。
それに加えて、風を当てることで 株自体が強くなる という効果も感じています。さらに、これは私の体感ですが、胞子葉の持ちも良くなる んじゃないかな、と個人的には思っています。
温度|15℃以上をキープ
結論セクションでも書きましたが、コロナリウムは寒さにやや弱い品種 です。冬場は 室温を最低でも15℃以上、できれば 20℃以上 に保つようにしています。
私は昼間の日射熱を活用しながら、冬場も 室温が20℃以上 を保つようにしています。エアコンを使えば確実に20℃以上をキープできるので、コロナリウムにとっては育ちやすい環境になっていますね。乾燥した冬でも、コロナリウムは胞子葉や貯水葉を伸ばし続けてくれる印象です。
ちなみに、ビカクシダ全般を上手に育てている人でも、コロナリウムだけは苦手 という人が割といる印象です。話を聞いてみると、冬場の室温や湿度がちょっと低め という環境であることが多くて、コロナリウムにとっては 「温度」がボトルネック になっているのかな、と個人的には思っています。
冬場は室温20℃以上を保つようにしているおかげか、コロナリウムは今のところ元気に冬を越してくれている印象です。
逆に 夏場は、室温が30℃を超える日でも、コロナリウムは熱でだれることなくピンピンしている 印象を受けます。やはり熱帯出身の品種なので、リドレイと同じく暑さにはむしろ強い イメージがありますね。
湿度|全く気にしていない
私の環境では、湿度は まったく気にしていません。加湿器なし、エアコン管理 で冬は乾燥しがちですが、コロナリウムは問題なく育っています。
園芸本によくある「梅雨の高湿度を活用」「葉水を毎日」みたいな話とは大きく違いますが、室内栽培で育てる限り湿度は心配しなくていい、というのが私の体感です。
板付け|広めの板に薄く(釣鐘状の盛り方に注意)
私が好きな板付けのスタイルは、広めの平板に水苔を薄くつける やり方です。貯水葉が末広がりにきれいに展開しやすく、見た目もぐっとまとまります。
平べったい着生(上:正面 / 下:底から)
なお、板そのものの選び方(木材の平板 vs コルク) については、こちらの記事に詳しく書いています。
ビカクシダ栽培|木材の平板 vs コルク|私が木材の平板を選ぶ理由
板の素材と幅で育ち方が変わる。コルクと木材の平板、それぞれのメリットと私の選択理由を解説。
釣鐘状の盛り方に注意
ここではコロナリウムを育てる時に特に気をつけたい、「釣鐘状の盛り方」 について書きます。
幅が狭いコルクや板 に着生させると、コケ増しを重ねるうちに水苔が盛り上がっていって、釣鐘状の形 になってしまうことがあります。
釣鐘状の着生(上:正面 / 下:底から)
釣鐘状の何が問題かというと、着生面が狭いこと です。狭い面に株全体の重さと成長する時の力が集中するので、株と板の接続部分に大きな負荷がかかります。結果、株がベリベリと板から剥がれてくるリスク が高まる、というわけです。
コルクは見た目がかっこいいので、やりたくなる気持ちはわかります。そういうリスクを理解した上でやるなら問題ありません。安定性を重視したいなら、最初から広めの板に薄くつける のがおすすめです。
メンテナンス|貯水葉の裏に水苔を詰める
コロナリウムが大株になってくると、貯水葉と水苔の間に隙間が生じてくる ことがあります。成長点がどんどん上に移動していくからです。
この隙間ができると、新しい根が伸びていく先に水苔がないため、根領域を確保できなくなります。その結果、本来なら立派に展開するはずの貯水葉が、弱々しくなったり分岐が少なくなったりすることがあります。隙間を放っておくと、株全体の勢いが落ちてしまうので、メンテナンスが必要です。
水苔を詰める手順
大事なポイントは、最初から束で多めに水苔を入れない ことです。束で入れると、蓋をしてしまうだけで成長点まで水苔が到達しません。少しずつ積み重ねることで、成長点まで水苔が届き、そこから新しい根が上に伸びていける状態を作る ことが重要です。
どれだけ詰めるかは、詰められる分だけ詰めてください。目安としては、両側の貯水葉が重なり合う接点のところまで。板から外さずに、隙間を蓋するように詰めていくだけで大丈夫です。
また、マグァンプKは根と密着していないと効果を発揮しません。最初にマグァンプKを入れておき、その上から水苔を詰めることで、新しい根が伸びてきたときにマグァンプKと密着しやすくなります。一石二鳥です。
詳しいやり方はこちらの記事にも書いています。
貯水葉がうまく展開しない時の対処法
貯水葉が薄い・展開が止まる・成長点が崩れる時の原因と対処法。マグァンプKの補充と水苔の詰め方。
害虫対策|カイガラムシは温めのお湯でこすって落とす
コロナリウムは カイガラムシがつきやすい印象 があります。なので風通しはしっかり確保するのが大事(前述のサーキュレーター常時稼働がここでも効きます)。
それでもついてしまったときは、温めのお湯(ぬるま湯くらい)でこすって落とす のが一番です。ロウのコーティングが緩んで、こすり落としやすくなります。葉を傷めないように、優しくこすってあげてください。
3個体の3年間成長記録
私が育てている3個体それぞれの成長記録です。買った時から現在までの写真を時系列で並べました。
ワイワイ(細葉系)─ 約3年4ヶ月
2023年1月購入当初

2024年6月(約1年5ヶ月経過)

2026年4月(現在、約3年4ヶ月経過)

細葉系の代表格のワイワイです。買った時は中株サイズでしたが、3年かけて大株になりました。細く分岐した胞子葉が増えていき、現在は骨組みがしっかり見える姿になっています。貯水葉も先端がピンと立った形状です。
光環境は、完全室内・下段の5,000〜8,000 lx です。
コロナリウム個体1(コンパクト細葉系)─ 約3年6ヶ月
2022年10月購入当初

2024年5月(約1年7ヶ月経過)

2026年4月(現在、約3年6ヶ月経過)

ワイワイより1ヶ月早く購入した、我が家の「コロナリウム最長飼育株」です。買った時はワイワイと同じくらいのサイズでしたが、こちらはよりコンパクトな姿に成長しました。
貯水葉の先端が尖っていて、胞子葉も細めの個体です。3年半の時間をかけて、現在のサイズまで育っています。
コロナリウム個体2(丸葉系)─ 約1年6ヶ月
2024年11月購入当初

2025年6月(約7ヶ月経過)

2026年4月(現在、約1年6ヶ月経過)

3個体の中で一番新しい個体で、2024年の秋に購入しました。貯水葉が丸っこく、胞子葉もくるくるとカールするタイプです。
1年半の飼育期間で、買った時の小さな株から現在のサイズまで成長しています。
自生地について
コロナリウムがどこで自然に育っているのか、そこはどんな環境なのか、という話です。
コロナリウムの自然分布は、東南アジアの熱帯雨林地域 です。具体的には、インドネシア(スマトラ、カリマンタン、ジャワ)、マレーシア、ブルネイ、タイなどの湿度が高い熱帯の樹上に着生しています。
自生地の環境
光 ─ 樹冠中下層の散乱光、おおむね 3,000〜10,000 lx
自生地では、コロナリウムは 樹冠の中層〜下層(地上5〜15m前後)に着生 しています。太陽光は常に直射するわけではなく、上層の樹葉を通して入ってくる散乱光がメインです。ただし、風で上層の葉が揺れた時や、時間帯によっては、瞬間的に強い直射光が一瞬差し込むこともあります。
自生地の光量はどれくらいか ─ 論文からの計算
コロナリウムが自生する樹冠中下層(地上5〜15m)の樹幹に、直接ルクスメーターを置いて光量を計測した論文 ─ これは私が探した範囲では見つかりませんでした。
そこで、よく似た熱帯林の光環境を計測した論文を2本のぞいてみました。
- Deng et al. 2022(中国・西双版納の熱帯季節雨林):林冠上から地上までの光減衰を測定。地上3.7m で林冠上の0.3%、地上21.2m 以上で100% という急峻な減衰を報告
- Brenes-Arguedas et al. 2010(パナマの熱帯林):林冠上は 約 27 mol/m²/day、林床は0.26〜0.53 mol/m²/day と報告
この2本から、コロナリウムが住んでいる樹冠中下層は 林冠上の光量の 10〜30% くらい、と仮定して計算してみます。
林冠上の 約 27 mol/m²/day を、日中の平均値に直すと(12時間で割って秒換算)、約 625 μmol/m²/s(光合成に使える光の量、PPFDという単位)。コロナリウム着生帯はその10〜30%なので 60〜190 μmol/m²/s、ルクスに換算すると(1 μmol ≒ 54 lx)、おおむね 3,000〜10,000 lx の散乱光 という計算になります。
私のビカクウォール下段(5,000〜8,000 lx)と、この自生地の光量帯(3,000〜10,000 lx)が 似たような範囲に収まっていた のは、ちょっと面白い発見でした。
湿度 ─ 年間降水量2,000mm超
東南アジアの熱帯雨林は、年間降水量が 2,000mm を超える 地域が多く、雨季にはほぼ毎日雨が降るような気候です。
私の環境は 加湿器なし・エアコン管理 で、冬場は乾燥気味です。湿度に関しては自生地とはだいぶ違いますが、コロナリウムは問題なく育ってくれている、というのが私の実感です。
気温 ─ 年間を通して暖かい
年平均気温はおおむね 25度前後 で、季節変動は日本ほど大きくありません。
私の環境(エアコン管理で年間20度以上)も、温度帯としては自生地に近い範囲に収まっているかなと思います。
まとめ
ここまで、コロナリウムについて、植物としての特徴・私の育て方・自生地の話まで書いてきました。
3年半育ててきて感じるのは、コロナリウムは「失敗しにくい美しさ」を持つ品種 だということです。個体差が大きいので「これが正解」という姿はなく、貯水葉が末広がりにきれいに展開し、ワイヤー誘引なしでも自然にまとまります。胞子培養由来の株が多く流通するので、自分の家のコロナリウムは世界に一つの姿 に育つ、というロマンもあります。
育てる上では 「温度」がボトルネック だと感じています。冬場は最低15度、できれば20度以上を保てる環境なら、私の3個体は止まることなく等速で淡々と育ってくれています。光は 5,000 lx 以上 が確保できれば十分。湿度や水やりについては、私の経験ではそこまでシビアではありません。
自生地と比べてみると、光(3,000〜10,000 lx)と気温(25度前後)の面では、室内でも自生地に近い環境を作れます。湿度は自生地(年間降水量2,000mm超)と大きく違いますが、それでも育ってくれるところに、コロナリウムの寛容さを感じます。
最後にこれだけは言わせてください。
コロナリウムはいいぞ。
この記事についてのご質問やコメントがありましたら、Instagram(@jisakubo)にDMください。
作成日: 2026-05-18 カテゴリ: 品種紹介 ステータス: 執筆完了
JISAKUBO
管理人2020年からビカクシダを育てています。気づいたら5年で100種類以上。たくさん枯らして、たくさん学びました。自分の備忘録ですが、何かひとつでも参考になれば嬉しいです。
@j39bo