ビカクシダの首折れ対策|貯水葉2枚でできる借り貯水葉の作り方
どうも、ジサクボです。
この記事は、私の特定の環境(室内栽培)での経験をもとに書いています。すべての環境に当てはまるわけではありませんので、ご了承ください。
こんな人に読んでほしい
ビカクシダの首折れ対策|貯水葉2枚でできる借り貯水葉の作り方
ビカクシダを育てていると、「成長点がグラグラしている」「胞子葉の付け根が心配」という場面があります。特に、ビカクシダの中でも貯水葉が出にくい品種を育てていると、首折れのリスクが常に頭にあります。
私もP.Celso Tatsutaを首折れで枯らした経験があり(私が枯らしたビカクシダ4品種|原因不明で枯れた記録)、同じ失敗を繰り返したくないと思っていました。
この記事では、別の株から取った本物の貯水葉を「借り貯水葉」としてあてがうビカクシダの首折れ対策を紹介します。他の株の貯水葉を借りてきて、貯水葉が出ない株に代わりに付けてあげるイメージです。この方法はあまり見かけないので、実際にP.Triceratopsで試した写真とともに記録しておきます。
1. ビカクシダの首折れとは
首折れとは、胞子葉の付け根(成長点付近)が折れてしまう現象です。
ビカクシダの胞子葉は、成長すると大きく重くなります。その重さを成長点付近で支えることになるため、成長点がしっかり固定されていないと、自重に耐えられずに折れてしまうことがあります。
一度折れても、適切な処置ができれば枯れることはそうありません。ただし、現状回復までにはだいたい1年から2年くらいかかります。その間ずっと見た目が悪い状態が続くので、できれば折れる前に防ぎたいところです。
2. なぜ貯水葉が出ない品種は首折れしやすいのか
ビカクシダの貯水葉は、成長点を覆って安定させる役割があります。貯水葉がしっかり展開していれば、その裏で成長点から根が放射状に伸びて、コンポストにガッチリと食い込みます。この根張りによって成長点が固定されるので、首折れのリスクは低くなります。
問題は、P.ElsaやP.Celso、P.Triceratopsなどの園芸品種です。これらの品種は貯水葉が出にくい傾向があるので注意が必要です。また、園芸品種に限らず、ヒリーの一部やP.Mt.Lewisなども環境によっては貯水葉が出にくいことがあります。私のP.Triceratopsも、今のところ貯水葉を見たことがありません。
貯水葉がない状態では、成長点がコンポストに固定されていない、あるいは固定が弱い状態になりがちです。胞子葉が大きくなるにつれて重さが増していくので、首折れのリスクが高まると考えています。
育てて楽しい成長が早いビカクシダ3選でもこの点に触れていますが、成長が旺盛な品種ほど胞子葉が重くなるペースも速いため、首折れ対策が重要になってくると思います。
3. よくあるビカクシダの首折れ対策
私が以前からやっている首折れ対策をいくつか紹介します。
すずらんテープ(黒)
黒いすずらんテープで水苔にぐるぐると巻きつける方法です。ビカクシダを固定する方法としてよく知られています。
根張りをある程度促せますし、水苔を巻き込むので貯水機能もあります。ただ、テープ自体に厚みも硬さもないため、重くなった胞子葉を下から支える即効性はありません。根が張って固定されるまでの間は、首折れリスクが残ります。
水苔マフラー、ビニール紐など
成長点の周りに水苔を足して巻きつけたり、ビニール紐で固定したりする方法も使われます。こちらも一定の効果はありますが、胞子葉をしっかり支持するという点では、やはり物理的な限界があると感じています。
いずれの方法も、胞子葉を物理的に支えるという意味では即効性に欠ける印象があります。
4. 借り貯水葉という方法
そこで試しているのが、別の株から取った本物の貯水葉を借り貯水葉としてあてがう方法です。
なぜ貯水葉が良いのか
本物の貯水葉には、他の素材にはない特性があります。
まず、厚みと硬さです。貯水葉はある程度の剛性があり、胞子葉の付け根を物理的に支える力があります。すずらんテープやビニール紐にはない「支える力」が、貯水葉にはあります。
次に、**アール(曲面)**です。貯水葉はもともとコンポストの曲面に沿って展開しているため、コンポストの形状にフィットしやすいです。平らな素材を当てようとすると隙間ができやすいですが、貯水葉は絆創膏のようにコンポストに沿ってくれます。
さらに、根張りへの効果も期待できます。もちろん、切り取った貯水葉は生きた貯水葉とは違い、株と一体になって根を誘導するわけではありません。
ただ、タイのナーセリーでは貯水葉をビカクシダの着生材として使っているケースがあります。実際に、私が以前持っていたタイから来たウィリンキーも、他のビカクシダの貯水葉を切ったものに着生していました。
貯水葉がうまく展開しない時の対処法でも触れた通り、ビカクシダはもともと貯水葉と貯水葉の間に根を張る性質があります。貯水葉は適度に水分を保持するので、根が伸びやすい環境になるのだと思います。借り貯水葉をあてがうことで、同じように根が張りやすくなることが期待できます。
即効性と遅効性の2つの効果
この方法には、2つの効果があると考えています。
借り貯水葉の2つの効果
5. 用意するものと手順
用意するもの
- 貯水葉 2枚: 比較的厚みのある、大きめの子株からとったもの
- ミシン糸: 細くて丈夫なもの
- マグァンプK: 少々
一点、気をつけてほしいのが貯水葉の出どころです。病気で亡くなった株の貯水葉は使わないでください。感染症のリスクがあります。泣く泣く処分する株や、不要な子株から貯水葉を取るのが良いと思います。
手順
以下、私のP.Triceratopsで実際にやった時の写真で説明します。
下の写真は施術前のP.Triceratopsです。コンポストが露出していて、貯水葉がないのが分かります。成長点が少しグラグラしていて、このまま胞子葉が大きくなると首折れが心配な状態でした。
施術前。コンポストが露出していて貯水葉がない
手順1. 貯水葉を2枚用意する
大きすぎると扱いにくいので、成長点周りを包み込める程度のサイズが良いと思います。
今回使用した貯水葉2枚。厚みとアールがある
手順2. コンポストの上にマグァンプKを少量置く
貯水葉を当てる前に、成長点の周辺にマグァンプKを少量置きます。根が伸びてきた時にマグァンプKと密着しやすくなることを期待しています。
手順3. 貯水葉を下から胞子葉の根元を挟み込むように配置する
貯水葉2枚を、胞子葉の付け根を下から支えるように当てます。コンポストの曲面に沿って密着させるイメージです。
貯水葉を胞子葉の根元にあてがった状態
下から見ると、貯水葉が胞子葉の根元を支えている様子が分かります。
下から見た様子。胞子葉の根元を支えている
手順4. ミシン糸でぐるぐる巻きにして固定する
貯水葉がずれないように、ミシン糸で板ごとぐるぐると巻きつけて固定します。きつく締めすぎず、貯水葉がしっかり当たっている状態を維持できる程度で大丈夫です。
ミシン糸で固定した状態
この方法はまだ経過観察中で、根張りや成長点の安定について結論は出ていません。変化があれば続報を書いていく予定です。
6. まとめ
貯水葉が出にくい品種の首折れ対策として、別の株の貯水葉を借り貯水葉としてあてがう方法を紹介しました。
この記事のポイント
ただし、これはあくまで私が現在試している方法で、長期的な効果については断言できる段階ではありません。板替えや株整理で貯水葉が余った時に、首折れが心配な株があれば試してみる価値はあると感じています。ご自身の判断で試してみてください。
この記事で紹介した資材
私が枯らしたビカクシダ4品種|原因不明で枯れた記録
P.Celso Tatsutaを首折れで失った経験。同じ管理をしていたのに枯れた4品種の記録。
貯水葉がうまく展開しない時の対処法
貯水葉の裏とコンポストの隙間が原因。水苔を詰めて根張りを改善した経験を紹介。
育てて楽しい!成長が早いビカクシダ3選
成長が旺盛な品種ほど首折れリスクが高い。P.Triceratopsを含む3品種の特徴と育てる面白さ。
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JISAKUBO
管理人2020年からビカクシダを育てています。気づいたら5年で100種類以上。たくさん枯らして、たくさん学びました。自分の備忘録ですが、何かひとつでも参考になれば嬉しいです。
@j39bo