alcicorne is an old inhabitant, being introduced soon after the commencement of the present century(alcicorne[現代のP.alcicorne / P.bifurcatum近縁]は古参で、19世紀の始まりから間もなく英国に導入されている)
ヴィクトリア朝の女性植物画家 Marianne North(マリアン・ノース、1830-1890) が 1876年のボルネオ・サラワク滞在中に現地で描いた油絵「Stagshorn Fern and the Young Rajah of Sarawak, Borneo, with Chinese Attendant」。木の枝に巨大なビカクシダ(おそらく P.coronarium と思われる)が着生し、特徴的な細長い胞子葉が垂れ下がる様子が描かれています。手前にサラワクの若い王(ラジャ)と中国人の随行者、そして子供。当時の英国の人々が想像した自生地ではなく、Marianne Northが現地で実際に見て描いた景色 です。彼女は世界中を一人で旅して800枚以上の植物画を残しました。Kew王立植物園には彼女の作品専用の Marianne North Gallery が今でもあります。Royal Botanic Gardens, Kew / Public Domain
18世紀後半〜19世紀初頭の英国では、パイナップル1個の市場価格が £60〜80(=熟練した使用人の年俸に匹敵、現代換算で約100〜160万円)。「馬1頭より高い」ので食べるのは下品な金の浪費 とされ、なんと 「果物商人がパイナップルをレンタルする」ビジネスが成立していた そうです。夜会の前にレンタルし、脇に抱えて登場してステータス誇示、翌朝未開封で返却 — 商人はその同じパイナップルを次の客にまた貸し出す(出典:Today I Found Out)。
裏付けとして、Veitch商会の1906年の公式書『Hortus Veitchii』の冒頭の謝辞ページには、当時のキュー植物園ディレクター Sir William T. Thiselton-Dyer への感謝 が書かれています。商業(Veitch)と学術(Kew)がガッツリ手を組んでいた ことが、こうした記録からも見えてきます。
PLATYCERIUM ALCICORNE, Desv., var. VEITCHII, Hort.
Gard. Chron. 1896, vol. xix. p. 652 (Report of R.H.S. Floral Committee).
A form introduced from Australia, distinct in having unusually stout erect fertile fronds, of leathery substance, narrower than those of other species in cultivation, and of a dark green colour.
(プラティセリウム アルキコルネ・デヴォー、ヴィーチイ変種。Gardeners' Chronicle 1896年第19巻p.652、王立園芸協会フローラル委員会の報告に記載。オーストラリアから導入された一品種。胞子葉が異常に太く直立し、革質、栽培されている他の種よりも幅が狭く、深い緑色を呈する。)
オーストラリア・ブリスベンの A.アーチャー邸の庭で、1876年頃に撮影されたビカクシダ群 のセピア写真。木の幹に何株ものビカクシダが着生 している様子が分かります。地球の反対側、当時の英国植民地(クイーンズランド)では、こんなふうに庭の木に貼り付けて育てるスタイルが定着していたわけですね。150年前のリアルなビカクシダ栽培の景色。State Library of Queensland / Public Domain
150年前の英国の温室の壁には、ビカクシダがびっしり並んで育てられていました。
…これ、私の妄想じゃなくて、Sandford 1882『A Manual of Exotic Ferns & Selaginella』に書かれている事実です。
on the walls may be grown the different species of Platyceriums(壁面で、ビカクシダのいろいろな種類を育てられる)
A genus of curious formed species, and of an epiphytal growth, growing as it does in its native haunts, on trees, and in our plant houses easily grown in baskets, on logs of wood, and pieces of board.(独特な形をした属の一つで、着生植物(epiphytal)として育つ。自生地では木に着生し、温室ではバスケット・木の枝・板で容易に育てられる)
they are best propagated by divisions when obtainable, but I do not know of a single instance, of any having been raised from spores(手に入る場合は株分けが最良。胞子から育てた事例は一例も知らない)
I have heard of ferns being planted in air-tight cases, and having neither water nor air for seven years, and then appearing quite healthy.(密閉ケースの中で水も空気もなく7年間放置されたシダが、それでも健康そうな姿で生きていたという話を聞いたことがある)